長男は小さい頃、手をつなぐのが嫌いな子でした。
でも母子通園に通って色んな体験をする内に、手を繋ぐ事が好きになり、
以後私と外出する時には必ず手を繋ぐようになりました。
車から降りて、私が右手を腰のあたりでヒラヒラさせると、
それを合図にして長男が私と手を繋ぐのです。
小さい頃なら違和感はないんですが・・・
いい加減大きくなった男の子が、常に母親と手を繋いでいるのは
ハッキリ言って異様ですねw
私もその辺は自覚していました。
でも
「障害があるんだから別にいいじゃないか。笑いたい奴には笑わせておけばいいんだ」
程度に思っていたものです。
長男が養護学校を卒業して作業所に入った次の年。
長男の通っている作業所には、年に1回保護者面談があります。
その面談でスタッフの方に、
「長男君とお母さんはよく手を繋いでいますが、何かこだわりとかあるんですか?」
と聞かれたのです。
「いえ、そういう訳じゃないんですけど、もう習慣になっちゃってて・・・」
と苦笑しながら答えると、
「長男君はいきなり道路に飛び出すとかはないですし、こだわりでもないんだったら、
そろそろやめてみませんか?」
と言われました。
特にやめる理由もなかったので、そう言われた事が意外だったのを覚えています。
「そうですねぇ。でもやっぱりちょっとさみしい気もしますね」
と答えた私にスタッフの方が言いました。
「お母さんも子離れしなくちゃ」
それを聞いて私はハッとしたのです。
ああ、私子離れできてなかったんだ。
手繋ぎは、その表れだったんだ。
全く自覚がなかったので、非常にビックリしました。
『障害があるんだから仕方ない』と言いながら、私はとうに成人した長男と手を繋ぐ言い訳にしていたのか!と気付いたのです。
本当に驚くほど素直に、スタッフさんの言葉が腹に落ちました。
別に長男も、私が合図をするから手を繋ぐのが習慣になっていただけなので、
「大人になったんだからもう手は繋がないよ」と言うとすぐに納得しました。
それからは手を繋がないように気を付けながら外出していましたが、
ハッと気付くと無意識に手を繋ぐ合図をしてしまっているんですねw
その合図を見ると、長男もまだ習慣が抜け切っていないものだから、
さっと手を繋いで来るw
これじゃイカン!と思った私は、
「お母さんが合図しても、もう手は繋ぎません」
と何度か言い聞かせました。
そのうち私がワザと合図をしても、長男が
「繋ぎません」
と言って完全に手を繋ぐ事はなくなりました。
私は子離れができていない自覚が全くなく、いつの間にか長男を幼児扱いしたままでした。
でもそれは、大人になった長男のプライドも傷付けていたのかもしれません。
自分で物事を判断、拒否ができない長男ですから。
スタッフさんに言われなければ、私はずっと気付かずに今も外出のたびに
長男と手を繋いでいたと思います。
気付かせてくれたスタッフさんには、感謝しなければなりませんね。
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