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【発達障害】緑の家のススメ【自閉症】

私は子供達が保育園の頃、毎年のように「緑の家」を利用していました。
「緑の家」とは、愛知県春日井市にある「愛知県心身障害者コロニー」の中にある一施設です。
障害のある子供と母親が、3泊4日の泊りがけでグループミーティングや集団療育などを受ける事ができる施設です。
コロニー内の病院での受診も、プログラムに含まれています。

私は、当時通っていた療育園でこの緑の家を紹介されて参加して以来、すっかりハマってしまって毎年利用していました。

何がそんなに良かったのか?
第一に、日常のわずらわしさ(家事や公園通いなど)から開放されて、子供とじっくり向き合う時間ができる。
これに尽きると思います。
次に、同じような境遇の母子が数グループ集まっているので、親しくなれたりします。
お互いの子供に対する悩みを打ち明けたり、共感したり。
そして施設内病院の児童精神科での診察や、発達検査もしてくれます。
基本的に母子分離なので、子供の世話から開放されるという点も、リフレッシュになって良いと思います。
それと、母子分離から戻って来た時の子供との再会。

こんな風に、子供達がお母さんの方に駆け寄って来てくれるのを受け止めて、ぎゅ~!っと抱きしめるのです。
これが結構感動するんですよ。

参加して変わった事
まず、私自身の意識が変わりました。
私はそれまで、とにかく自分さえ頑張れば長男の発達の為になる!と信じていました。
療育園に通うのも、児童精神科に通うのも、言語訓練に通うのも、児童相談所に行くのも!
全部自分が頑張って連れて行きさえすれば、長男の発達にも良いに違いない!
正直面倒くさいなぁ、と思う事も多々ありましたが、全部長男の為!
長男の為に私が頑張らなくては!
・・・そう思っていました。
それが、緑の家に参加して、夜に子供の寝顔を見ていた時に、なぜか唐突に気付いたのです。
一番頑張っているのは長男じゃないか!
どうして私は、自分が一番苦しくて、自分が一番頑張っているなんて思っていたんだろう。
とんだ自己満足じゃないか!
(長男にとっては)訳の分からない、知らない場所にあちこち連れ回されて!
意味の分からない事をやらされて!
不慣れな事や初めての事、初めての場所が大の苦手な自閉症の長男にとって、それがどれだけストレスになるか、それまで私は全く気付かなかったのです。
「なんて事だ・・・!」
子供の為の療育が、私の自己満足になってしまっていたんだ。
そう気付いたその夜、私は泣きました。
涙が出て来て止まりませんでした。
それ以来、少し長男に優しく接する事ができるようになったと思います。
あれが私にとって、気持ちの切り替えになった出来事でした。
初めて褒めてくれたのは、緑の家の職員の方だった
長男の障害が疑われて母子通園に通っていましたが、私の身内からは割と無神経な事を言われました。
あくまでも本人達は、私と長男の為に言っているのは分かっているのですが、やっぱり傷つくものです。
長男が外を歩くのを嫌がるのは、私がちゃんと公園などへ連れて行かないせいでは?とか(ちゃんと散歩等にも連れて出ていたのですが)、当時次男をおぶって療育園に通っていたため、1日中おんぶでは次男が可愛そうだから、保育園を探して次男を預けてはどうか、とか。
当時の私には、本当に自由時間なんてありませんでした。
次男の保育園探しなどする余裕もなかったのです。
毎日幼い2人の息子を連れて療育園に通い、帰ったらバタバタと昼寝をさせて、昼寝から起きたらお風呂、夕飯の支度、夕飯、寝かしつけ・・・。
今だったらとてもこなせません。
そんな生活を送っていた私に、初めて『お母さん頑張ってるよ!』と言ってくれたのは、緑の家の担当職員さんでした。
緑の家では、参加すると1母子に1人担当職員さんが付くのですが、最初に参加した時の職員さんの言葉、未だに一言一句忘れられません。
「(長男は)場面の切り替えが苦手で不安そうになりますが、それを乗り越えた時の笑顔が、とても豊かないい笑顔で、お母さんが愛情を持って子育てして来た事が良く分かります。療育園に通って頑張っているとの事ですが、これからも頑張って下さい!」
笑顔で力強く言ってくれた言葉に、どれだけ嬉しかったか!
今までここまで私の子育てを認めてくれた人は、残念な事に旦那や身内ではなく、赤の他人である、緑の家の職員さんだったのです。
余談ですが、上記の「おんぶしっぱなしでは次男が可愛そう」と言われた事をかかりつけの児童精神科の先生に相談した所、
先生「それでご家族の方は手助けをしてくれるんですか?次男君を預かってくれるとか・・・」
私「いえ、特にそういう訳ではないです」
先生「じゃあ口出さないで欲しいですよね~w」
と言われました。
とてもとても心が救われました。
私はそんなに次男に可愛そうな事を強いているのか、という気持ちになっていたものですから。
あれ、私結構身内にひどい事言われてた?w
あの頃の私と同じような境遇のあなたへ
 毎日家事と育児に追われて、余裕のないお母さんは多いと思います。
実際私もそうでした。
子供と向き合う時間が取れれば、何か気付ける事もあるかも知れません。
愛知県内にお住まいの方は、緑の家に参加してみるのも有効な手だと思います。
当時私は、緑の家から自宅に戻ると、即座に次回の予約を入れていました。
あまりに毎回予約を入れるので、(当時は児童相談所が予約窓口でした)児童相談所の方に
「緑の家って、そんなにいいんですか?」
と聞かれた事がありますw
参加した事のない人には分からない良さがあるんですよw

当時の緑の家の各居室は、こんな感じでした。

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自閉症青年の成長

今日は、大人になっても少しずつ成長しているんだなぁ、と思った自閉症青年、長男のエピソードをひとつ。

長男は毎週日曜日、作業所で行われている『地域支援活動』(通称『地活』)に参加しています。
障害のある人達の余暇活動として、施設で様々なイベントを企画してくれるのです。
そして地活の時は水筒でお茶を持参しています。
この水筒、地活から戻ると、長男がそのまま台所に置いて行きます。
それを私が洗って乾かして仕舞う、というのが、養護学校時代からの習慣でした。

しかしここ最近どうにも面倒で、すぐに洗わずに、しばらく放置していたんですね。
水筒って、洗うの地味に面倒じゃないですか(´・ω・)
どうせ使うのは養護学校時代と違って週1回だけだし、いいや!と思って。
そんな事が2~3週間続いたのですが。
ある日仕事から帰ると、今朝まで放置されていた水筒が洗われていました。
あれ?私洗ってなかったよね?誰が洗ったの?
間違っても、旦那や次男が洗ってくれるはずはない。
そもそも次男に至っては、今朝私より早く家を出てまだ帰宅していない。

「あんた、水筒自分で洗ったの?」
と長男に聞くと、頷いていました。
ビックリです。
今まで一度も洗い方を教えた事もなければ、自分で洗うように言った事もなかったんですから。
そういえば今までも、教えてもいないのに突然お風呂にお湯を張ってくれたりした事がありました。
どうやら長男には、新しい事に挑戦してみたくなる、みたいな所があるように思います。
所謂成長期を過ぎて大人になっても、まだ成長し続けているんだなぁ、と実感した出来事でした。



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自閉症長男のドヤ顔

現在実年齢21歳の長男ですが、知能的には4~5歳と言った所。
この長男、時々思いもよらぬ事をして、私をビックリさせてくれます。

数年前の事。
仕事でちょっと遅く帰宅した私はすぐに風呂にお湯を溜めようと、風呂場を覗きました。
でも、なぜかもうお湯が張られている。
(;・3・)アルェー
我が家ではお風呂掃除は次男の仕事。
でもその日は、次男はまだ学校から帰宅していませんでした。
居間にいた長男に、
「もしかしてお風呂のお湯・・・入れた?」
と聞くと、いつもの消極的な長男からは想像もできないほど堂々と
「うん!」
と言いながら、ドヤ顔されましたw
すごい!
例えボタンを1つ押すだけでできる事だとしても、直接教えてもいないのにお風呂のお湯の入れ方が分かったなんて!
すごい!すごいよ!
・・・でも、浴槽洗わずにお湯いれちゃってるのよorz
すっご~く複雑な気分になりながら、それでもやっぱり褒めたいw
こんな自信満々でドヤ顔の長男、是非褒めてやりたい!
でも・・・お風呂がキタナイ(´;ω;`) ウウッウウッッ
「そ・・・そうかぁ~・・・すごいね~お湯、入れたんだ~・・・でも、掃除しないでお湯入れると・・・ちょっと・・・キタナイカナ~・・・」
語尾が小さくなる私w

さすがに一度入れたお湯を流してしまうのは勿体なくて、その日はそのまま入りましたが・・・。
それ以来、遅くなりそうな時は朝の内に浴槽を洗って行くようにする事もあったので、長男の「お湯張り」はその1回でした。

が、何年ぶりかで今日wやってくれましたw
いつもより少し遅く帰宅すると、既にお風呂が沸いていました。
「あ、また長男が掃除をせずにお湯をorz」
と思って
「アンタがお湯入れたの?」
と聞いたら、今日はちょっと控えめに小さい声で
「うん」
と頷く長男。
でも顔はちゃんとドヤ顔だったのが笑えるwww
そうか!
褒めて欲しいか!
‘`,、’`,、’`,、(‘∀`) ‘`,、’`,、’`,、
きちんと褒めておきましたw

朝軽く浴槽をシャワーで流しておいたけど、それだけでもやっておいて良かった、と心から思いました( ̄ω ̄゜)

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【自閉症】長男の独り言【うるさい】

旧ブログで書いた事があったけど、長男の独り言についてです。

長男にとって独り言は、リラックスの象徴のようです。
緊張している時や機嫌の悪い時には決して独り言は言いません。
家や自室はもちろんの事、時には外でも独り言を喋り出します。
小さい時は黙認していましたが、さすがにいつまでも放置しておくわけには行かず、長男に何度も言い聞かせてきました。
「自分のお部屋では喋っていいよ。でも他の場所では小さい声で喋ってね。」
と。
完全に禁止するのは・・・まぁ長男を見ていると到底無理と思えるので。

でも居間だと、この約束をよく忘れるんですよね。
居間ではテレビがついている事が多いから、テレビの音がかき消されてしまいます。
また、ものすごくいいタイミングで長男の独り言が、ちょうど聞きたかったセリフと被るんですよね。
「ああ!もう!聞こえなかったじゃん!うるさいな!」
なんて文句を言おうものなら大変。
普段穏やかな長男が烈火のごとく怒り出します。
自閉症特有の怒り方で・・・。

「テレビ見ない!」
「テレビ消す!」
などと言いつつ、リモコンを手にしようとします。
でも私の反応が怖いものだから、テレビを消してはみたものの、またすぐつけてこっちの様子を伺っているw
別にテレビ消したくらいじゃ、私も怒ったりしないんですけどね。
でも、こういうのは大概夕飯前なのが厄介なんです。
「ご飯いらない!」
「ご飯食べない!」
と、怒りがテレビからご飯へ移行するんですよねぇ。

長男にしてみたら、楽しく独り言を言っていたのに、突然理不尽に怒られた!楽しい気持ちを全否定された!
くらいな気持ちなんだろうと思うのですが。

なので、長男が約束を忘れて居間で大声で独り言を言い出してしまったら、なるべく穏やかに
「ここはアンタの部屋じゃないよ」
と言うようにしています。
長男を怒らせて、お互い無駄な労力を割くのはもういやだorz
こっちがいきなり怒り口調でなければ、そのまま大人しく独り言を小さい声にしてくれます。
でもすぐに忘れるんだよなぁぁぁ!
ほんっと「うるさいよ!!」って一言で済ませられたら 楽なのになぁぁぁ!
って思う事はしょっちゅうです。

そんな長男ですが、怒るのは私に注意された時だけ。
小さい頃から長男は、次男の事が苦手です。
理由は、次男には逆らえなくて怖いから。
私に接する時より遠慮もあるんだと思います。
次男なんか私より遥かにキツイ言い方で
「うるせぇ」
とか言うんですけどね。
次男の言う事には大人しく従うw
でも長男の独り言に悪気がないのは分かっているので、次男には
「そんなキツイ言い方するな!」
って怒るんですけど、聞きやしねぇ。

毎朝 朝食後からご出勤まで、長男は自室で電子ピアノを弾くのを日課にしています。
今朝次男がそれを
「音が大きい」
みたいに注意したらしく、音楽がピタッと止まってしまいました。
可愛そうだったので、
「アンタもうすぐ家出る時間なんだからいいじゃん」
と次男に言って、長男には
「弾いてもいいんだよ?」
と言ったのですが、次男に遠慮して結局弾けずじまいでした。

次男がバイトで遅くなる日だけ、夜ベッドに入ってから眠くなるまで好きなだけ独り言を言っている長男の声が聞こえますw
ああ、普段は長男なりに次男に気を使っているんだな、というのが分かって、ちょっと胸が熱くなる思いです。

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日記 子供 自閉症、知的障害

知的障害の長男を置いて泊りがけで出かけるための準備

11月30日から12月1日にかけて、仕事関係のセミナーを受けるために愛知県から、はるばる埼玉県大宮まで行って来ました。
知的障害のある長男を置いて泊りがけは、事前の準備が必要。
家族(主に次男)の協力は必須。
1ヶ月以上前から、次男にはくれぐれもこの日はバイトを入れないよう、しっかり伝えました。
土曜はいつも長男はヘルパーさんとお散歩の予定を入れています。
30日の数日前に、この日はお母さんがいないこと、10時にヘルパーさんが来たら、お財布と家の鍵を持って家を出る事を長男に言い聞かせました。
夕飯はレトルトカレーを買って、次男に米を炊いて食べるように指示。
(旦那は夜勤の為当てに出来ず)
12月1日の朝食は、サンドイッチやパンを買って置いておきました。
長男がヘルパーさんとの散歩から帰ったら、昼食は旦那にお任せ。
そして私は昼過ぎには自宅に帰宅予定。
本当は旦那に洗濯もしておいて欲しかったけど、そこまで頼むのも気が引けたので、これは日曜にまとめて洗う事に。
つまり、今回の私の泊りがけで一番頼りにしたのは次男です。
今回っていうか、毎回なんだけどなw

そういえば長男が高等部の時、長男の修学旅行に合わせて1人旅に出たっけ。
2泊3日の修学旅行だったから、かねてから行きたかった広島に行って自由な旅を満喫。
あれは楽しかった。
養護学校を卒業したらこんな機会はもうないし、ゆっくり遠出できないだろうなぁ、と思って計画しました。
ぶっちゃけ、長男以外だったら割と何とかなるし、当時は次男も高校生だったから。
この時は母がちょっと助け舟を出してくれましたが。

今ならショートステイを利用するという手もアリですが、送迎はしなくちゃならないんですよね。
自宅から施設まで結構遠いので、遠出前後に送迎するのはちょっと厳しいかな。
駅と反対方向の施設だしなー(-“-;)
どっちにしろ事前に入念な計画と準備が必要になるので、1ヶ月くらい前には予定を立てたい所。
セミナーの開催が発表されたのが10月半ばだったので、余裕で準備をする事ができました。

セミナー後の懇親会。
セミナー講師の税理士さん(素敵な女性の方です)は帰ってしまわれた後ですが、生保業界最高峰の師匠と、業界一の売らせ人の方が左側のお二人です。

翌朝は大宮駅構内のパンケーキ屋さんで、パンケーキの朝食。
お一人様ならではの贅沢でした(*´∀`)

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子供 自閉症、知的障害

【発達障害】あるある【ADHD】

ここ数年、とにかく「発達障害」という概念だけが浸透しているように私は感じます。
私が子供の頃だったら、ちょっとクラスで浮いてた変わり者程度でも、今きちんと診断したら発達障害となってしまうんじゃないかなぁ。
大人になってから本を読んで、自分が発達障害の症状に該当する、と思う方も多いんでしょうね。
でもキチンと自立して食って行けていて、自分で不都合を感じていなければ、そんな診断なんかどうでもいいことだと思います。
問題は、生き辛さを抱えながら暮らしている人。
そういう人に取っては、発達障害等の診断には意味があると思います。

ウチの長男はまごうことない自閉症、知的障害なので、こういうレベルとは乖離しているのですが。
次男が軽度発達障害なんですよね~。
だから、接していても普通は分からない程度です。
ちょっとドン臭い奴だな、程度なんですがね。
でも検査をすると、やっぱり発達に凹凸があって、そこで障害名がついています。
得意な分野と不得意な分野の差が激しいのです。
他にも、やっぱり人と接するのが苦手です。
世が世なら、この程度だったらクラスに1人はいる「ちょっとドン臭くて不器用な奴」くらいで収まったんだろうなーと思っています。

そんな彼も来年は20歳。
長男と比べたら知的障害はないし、普通に専門学校に行ってバイトもしている彼ですが。
やっぱり本当に不器用です。
まず、嘘がつけない。
裏を返せば正直者、という事なのですが、「上手に」嘘がつけないと、自分に不利益になります。
学校の課題で忙しいのに、バイト先からバイトに入って欲しいと言われてうまく断れないとか。
バイトを断る口実なんていくらでもあるのに、次男にはそれが上手く思いつかない。
仕方がないので、私が
「これこれこう言えばいいんだよ!」
と嘘のつき方を教える羽目に・・・orz
学校を疎かにしてまでバイトに行くなんて馬鹿げていますからね。
その辺は協力せざるを得ません。

次男の場合は、診断なしにここまで来てたら、多分色々不都合もあったと思います。
どうしても比較対象が長男になってしまうので、家庭内ではとても優秀に見える次男ですが、健常児の中に入るとやっぱり相当なドン臭さでしたからね(´・ω・)
根はいいヤツなので、もうちょっと世渡り上手になってうまく世間を乗り切って行って欲しいと願ってやまない私なのです。

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知的障害者の寿命

自分が死んでしまった後の、重度の障害を持つ我が子の事・・・心配ですよね。
私は長男の障害が分かった時から、ずっと将来の事を心配していました。
幼児期は就学先、養護学校時代は卒業後の事。
そして今は私が死んだ後の長男の事がとても心配です。
正確に言えば、長男が小さい時から、私の死後の長男の事はずっと心配でした。
「長男より1日でいいから長生きしたい」
私は長男が小さい頃から、ずっとそう思って生きて来ました。

長男が保育園の頃、同級生で同じく障害を持った子が事故で亡くなりました。
気の毒に思う一方で、私は亡くなった子のお母さんが少し羨ましくもあったのです。
こんな事を書くと「ひどい親だ」と思う方もいるかもしれません。

私は長男の障害を知った時、もう一生出られない真っ暗なトンネルに放り込まれたような気持ちでした。
亡くなった子のお母さんは、トンネルから出られたんだな、そして、もう自分の死後の事を心配する事もないんだ、と。
羨ましい気持ちを否定する事ができませんでした。
もちろん長男に死んで欲しい訳なんて、あるはずがありません。
でも、羨ましかったんです・・・。

だから今でも、知的障害のある人の寿命は平均より短い、なんて話を見かけると、それが事実であって欲しいと思う自分がいます。
私がいなくなったら、長男はきっと寂しがるだろう。
もしかしたら悲しむかも知れない。
そんな思いはさせたくないんです。
長男の一生を、最後まで守ってから死にたいんです。

今年5月に主人の母が亡くなりました。
長男は特に悲しげな様子もなく、通夜に参列していました。
その数日後に、私は長男に言ってみたのです。
「おばあちゃん死んじゃったね。でもアンタ泣かなかったね。お母さんもアンタよりは先に死ぬけど、その時も泣かないの?」
その途端長男の顔が、見たこともないほど不安そうな様子に歪み、
「ヤダ!」
と言ったのです。
こんなはっきりした反応が返って来るとは思っていなかったので、驚きでした。
あ、私の言った事の意味が分かったんだ、とちょっとビックリしたと同時に、私が死んだらこの子はどんな思いをするだろう、と怖くなりました。
私が長男に望んでいる事は「毎日楽しく笑って暮らしてくれる事」です。
それ以外の事は望んでいません。
それなのに、私が原因で悲しませるのは嫌なのです。
他の原因での事なら、私が慰めたり、長男の楽しめる事をして気を反らしてやる事もできます。
でも、私の死が原因で長男が悲しんだら、誰も長男の慰めにならない。
長男を本当に理解しているのは、私だけだと思っているから。
主人は育児にほぼノータッチでしたし、次男とは特に仲の良い兄弟ではありません。
お互いがお互いにほとんど無関心で、まるでひとりっこが2人いるような兄弟関係なのです。
それが証拠に、長男が本音をぶつけて来るのは私に対してだけなので、私の自惚れという訳ではなく、事実だと思っています。

出口のない真っ暗なトンネルと思っていたあの頃・・・。
今も相変わらずトンネルの中だけど、随分明るいトンネルになったと感じています。
長男本人は何も変わっていない。
変わったのは、私の長男に対する意識なのでしょうね。

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長男の自閉症ならではの「かわいい」を感じる時

うちの長男は21歳。
もう立派な成人です。
IQは27前後なので、知的年齢は6~7歳?
でも情緒的には4~5歳なのかなぁと思っています。

自閉症の子を育てた人には分かってもらえると思いますが、自閉症故、妙にかわいいって感じる事ってありませんか?
例えば喋り方。
うちの長男は、すごく「棒読み」なんですよね。
喋り言葉が、尽く棒読みくさい。
演技のヘタな人がセリフを棒読みする、みたいな・・・。
なので長男が言うセリフも
「あ、びっくりした(棒読み)」
「雨、振ってる(棒読み)」
「ありがとう(棒読み)」
いちいち語尾に「(棒読み)」を付けずにいられませんw
自分で言葉を組み立てる事ができないので、耳から入って来た言葉をそのまま発している感じですね。

今はしなくなりましたが、幼児期は発する言葉がほとんど疑問系だった事がありました。
例えば、保育園に行きたくない時に
「保育園、行かない!?」
と疑問系で叫ぶんですよねー。
何で普通に言わないの?
何で全部疑問系?
と思って、主治医の児童精神科の先生に聞いてみたら
「自分が言われた言葉をそのまま覚えて喋っているから」
と言われました。
ああ、なるほど。
何かする時はいつも長男に向かって
「○○する?」
みたいな聞き方しますもんね~。
だから、それが正しい言い方なんだと思ってしまっているって事だったんですね。
今はさすがに疑問系で喋る事はなくなりましたが、棒読みはきっと一生変わらないんだろうなーと思っています。

そして食べ物の好み。
長男の好きなおやつは「きのこの山」と「たけのこの里」。
以前作業所の職員さんに長男の好きなお菓子を聞かれた時に、この2つだと答えたら
「かわいいww」
と大受けしましたw

大声で歌を歌うとかもあります。
私の前では決して!歌ってくれないのですが、自室でたまに気持ちよさげに歌っているのが聞こえる時があります。
家の中でそんな大声で歌ったら聞こえるに決まってるじゃん、と思うのですが、私に聞こえてないつもりで、それはそれは気持ちよく歌っているw
おバカだな~と思いつつ、そこが可愛いのですw
しかもその歌っている歌は「森のくまさん」とか「ミッキーマウスマーチ」とかだったり。
21歳の成人男性なんですがw

あとは単純に幼い所でしょうか。
自閉症だからっていうよりは、これは知的障害ゆえかな、と思うのですが。
未だにイタズラで大人の気を引こうとする事がありますし、私に「そんな事言っちゃダメだよ」って言われる言葉を分かっていてわざと喋って、こっちの顔をチラチラしながらニヤニヤしていたりw

全体的に幼い長男ですが、こんな子でも思春期は年相応に訪れたから不思議なものです。
やっぱり思春期っていうのは、身体的なホルモンの影響なんでしょうね。

いろいろ「可愛い」長男ですが、やっぱりこれは『親バカ』視点なんだろうなーと思います。
長男に「アンタは本当に可愛いねぇ~」
なんて言っていたら、次男に
「どこが?」
と呆れられた事がありました。

ただ、愛嬌のあるタイプでにこやかな子なので、関わってくれる方々の受けはいいんです。
養護学校の小学部時代に、受け持ってもらってもいない高等部の先生から
「長男くん、かわいいですね!」
とお褒めの言葉を頂いた事もあって、とても嬉しかった思い出があります。
こんな障害を持っている以上、周りの方々の助けは必須です。
少しでも周りの人にかわいがってもらえるなら、親としてこれほど嬉しい事はありません。

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今まで私が読んだ自閉症関連作品

自閉症児を育てていると、「自閉症」をテーマにしたドラマや本が気になったりしませんか?
私はやっぱり気になります。
そこで今日は、私が今まで読んだ自閉症(障害児)関連の漫画のお話をしたいと思います。

光とともに・・・

長男がまだ母子通園に通っている頃に知って、ずっとリアルタイムで読んでいました。
1巻の「この障害はお母さんのせいじゃない」と言われているシーンで何度泣いた事か・・・。
まだ「母親の愛情不足」とか「母親の接し方が悪いせい」とか、平気で言われていた時代でした。
「そんな事は関係ない、先天的な脳の機能障害なんだ」
と今なら言えますが、当時はそんな知識も、知識を仕入れるネットもなかったですから。
夫が最初協力的じゃなくてイラついたり、義母さんの仕打ちに腹立てたり。
夫はとあるキッカケで改心してとても理解のある良い夫になるのですが、これ現実はこううまくは行かないだろうなーw

妻が2人目を妊娠した時に
「この子が光と同じような障害があっても、迷う事なく産む」
みたいな事を言っているシーン、確か2巻だったと思うのですが。
私は全く共感できなかったんですよね。
次も障害児だって分かってたら絶対産まない!もうあんな苦労したくない!
って思いましたから、漫画の内容はいささか偽善的に感じました。

コミックス派だったので、コミックスが出たら買って読んでいたのですが、ある日書店に行ったら
『戸部けいこ追悼フェア』
という文字が目に入って愕然としました。
「ええ!だってまだ完結してないじゃん!一体どうして・・・!?」
と、その場で呆然として涙が出て来たのを覚えています。

光くんが「元気に働く大人」になるまで描き続けたかったと思います。
長男と同じ年頃の光くんの成長をリアルタイムで見ていた私としても、中学校までしか描かれなかったのは、ものすごく残念です。
最終巻の15巻は、先生が病床で描いたネームの状態で発売されました。
(後に他の漫画家さんがちゃんと漫画に描き起こして発売されましたが)
自分の死期を悟り、最後まで描き続けられない事が分かって、それでも何とか完結という形に持っていったそうなのですが、本当に無念だったと思います。

卒園式で発表する、子供の将来の夢を書くようにプリントを渡されて、
「書けない・・・」
と涙するお母さん。
すごく共感したし、実際うちも将来の夢なんて、本人は理解できなかったから、本当に他人事じゃありませんでした。
あの頃光くんと同年代だった長男は、今21歳。
地域の作業所で「元気に働く大人」になりました。
実は、光くんの保育園の卒園式での(お母さんが考えた)将来の夢、「元気に働く大人になります!」というセリフ、私も真似させてもらったんです。
だから思い入れもひとしおなんですね・・・。

この星のぬくもり

こちらは、高機能自閉症の女の子の話です。
知的障害がない故、普通学校に通って壮絶なイジメに合う主人公・・・。
実在のモデルの方がいます。
なので、自閉症の人が普段見えている世界をどんな風に感じているのか、すごくリアルに描かれています。
こちらの作品は、母の苦悩は軽く触れる程度でむしろ自閉症本人のモノローグが多いので、自閉症の人のものの感じ方を知るのには、とても良いと思います。
普通学校でのイジメは、高機能の方ならではの悩みですね・・・。

どんぐりの家

これは、20年近く前に読んでも「時代」を感じる、と思った古い作品です。
描かれているのは、昭和40年代後半!
就学免除という制度が当たり前にあった時代。
「ああ、世が世ならウチの長男は、学校へも行けなかったんだな」
と悲しい気持ちになったのを覚えています。
障害児も当たり前に教育を受けられる時代。
当たり前だとばかり思っていた事が、当たり前じゃない時代もあった。
養護学校に感謝です。

そんな時代背景の作品ですから、結構『凄まじい』と言える内容もあります。
他の2作品より、かなり重度な障害児がたくさん出て来ます。
周りの差別も、今より強く描かれています。
でも、分かってくれる人は必ずいる。
そう感じさせてくれる、力強い作品です。

やっぱり漫画は読みやすいし、伝わりやすいと思います。
私は実母や旦那に、「光とともに・・・」や「どんぐりの家」を読んでもらいました。
むしろ、母としての私の気持ちを分かって欲しくて、読んでもらいました。
どこまで分かってもらえたのかは不明ですが(´・ω・)

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自閉症長男の困った癖

今でこそ落ち着いているものの、長男には困った癖がイッパイありました。

今までも書いてきましたが、保育園時代の悩みとか、自閉症特有のこだわりとか。
まぁ、自閉っ子に困った癖が多いのは当たり前ですよねw

大きくなるにつれて少しずつこれらの『困った』は少なくなりましたが、大きくなってから出て来た『困った』もあったんです。
養護学校中等部3年生の頃、教室の移動をする時にガラス窓を叩く、という悪癖がありました。
ただ、これは本当に中学3年生の時だけで、正直担任の先生の接し方のせいだったと私は思っています。
先生は先生なりに、色々やめさせようと工夫はしてくれていたのですが、尽く的外れというか・・・。
なぜか「口で言って」やめさせようとするんですね。
私は、長男を窓際から離して、先生が手をつないでやって下さい、とお願いしたんですけどね・・・。
案の定、物理的に窓際から離して歩かせてくれれば、長男は何もしなかったそうです。
要するに先生に構ってほしくて、長男はわざと窓ガラスを叩いていたんです。
でも先生は口頭の注意でやめさせたかったらしくて、「長男と手をつないで窓際から離して歩く」というのをすぐにやめてしまったらしくて。
口で言って言うことを聞くような子なら、養護学校通ってませんよ・・・(´・ω・)
他にも色々あって、どうもこの先生とは合わんな・・・と思った次第です。
その後高等部へ進学した長男は、「窓ガラスを叩いて困るんですが」などと他の先生から1度も言われる事もなく無事養護学校を卒業しました。

その他にも、放課後児童デイサービスで、送り迎えの車で悪ふざけをしてしまっていた時期がありました。
運転手の方が車を離れた隙にクラクションを鳴らしたり、車の天井をドンドン叩いたり。
特にクラクションは長い間尾を引いていて、治まったのは養護学校卒業後、児童デイサービスから地域活動支援に移行してからでした。
これも「窓ガラス」と根本は同じ。
構ってほしくてやってしまうんですよね。
こういうイタズラをすれば、周りの大人が慌てて構いに来てくれるという事を分かっていましたから。
その証拠に、長男はこの手のイタズラをする時は必ず笑顔でしたorz
地域活動支援の職員さんは、「クラクションを鳴らしたらバツとして地域活動支援への参加不可」という方法でこの悪癖を矯正しようとされました。
実際、それで参加できなくなった事も数回ありました。
でも、これで理解してくれるくらいなら本当に苦労しないんですよねぇ(‘ω`)
なので、私は「罰を与える」のとは逆の、「ご褒美」方式を提案しました。
普通の人だって、達成できなくて罰を与えられる(マイナス)より、達成できたらご褒美がもらえる(プラス)の方が嬉しいじゃないですか。
知的障害のある長男なら尚更だと思ったんです。
案の定この方法が効いたようで、それからほどなくして長男の「構って欲しくてクラクション」はなくなりました。

今、ウチの家族の中で一番安定した生活を送っているのが長男なんですよね。
羨ましいくらいw
たまに私が接し方を間違えて怒らせてしまう事があるくらいで、本当に落ち着いています。
まぁ、こうやって油断していると、その内私がウッカリやらかすんですけどね・・・w